こんにちは、けいタンです。今日は日本国憲法について話していきたいと思います。
そして今回のテーマは「外国人」です。
外国人の人権、ここでは何かと議論されている「参政権」にフォーカスして話していきます。
そして、前回の関連記事をまだご覧になっていない方は下のリンクからどうぞ読んでみてください。
・前回の関連記事:子供の人権~制限させるべきかそれとも自由にさせるべきか~ (keitan-zatsugaku.com)
今回のテーマに関連する日本国憲法
15条1項:公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
44条:両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
93条2項:地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
※参考 日本国憲法条文一覧リンク 日本国憲法|条文|法令リード (hourei.net)
そもそも「国民」とはどんな人?
日本国憲法は国民に基本的人権を保障していますが、そもそも国民とは一体誰のことでしょうか?
皆さんの多くの方も「国民とはだれか?」について考えたことがないと思います。
日本国民とするのかについては日本国憲法ではなく、国籍法という法律で決めることになっています。
つまり、この国籍法という法律に基づいて出生と同時にあるいはその帰化その他の方法で日本国民と認められたものが国民と言うことになります。
これが「国民」の定義なのです。
外国人の人権について
国民の定義を踏まえると、外国人は日本国民に属さないことになりますよね。
ということは、日本国憲法が国民に保障する基本的人権は外国人には認められないのでしょうか?
しかしながら、すべての人間が生まれながらにして持っているのが基本的人権だとすれば日本国民であろうと外国人であろうと関係ないはずですよね。
では、どのようにしてこのことを説明すればよいのでしょうか?
人権と市民権
ここで、考えてもらいたいのが「人権」と「市民権」の二つの権利に区別することです。
「人権」とは国籍民族などに関係なくすべての人間に備わっている権利のことを指し、「市民権」とはある国家の構成員として与えられる権利のことを指します。
ではここからは、権利の性質からすべての人に認められる「人権」と国民にしか認められない「市民権」をどのように区別したら良いのかについて見ていきましょう。
例えば、宗教を信じる自由や学問の自由などは「人権」だといえますね。そして「市民権」の代表例がこれからお話しする参政権などになります。
次に、外国人の参政権について見ていきましょう。
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外国人の参政権
まず簡単に多くの方が知っているとは思いますが一応、参政権がどんな権利なのか説明しましょう。
参政権とは、国民が国や地方の政治に参加するための権利で「選挙権」(選挙を行う権利)と「被選挙権」(選挙される、言い換えると立候補する権利)の二つがあります。
さて、日本国憲法15条第1項を見てみると公務員を選んだりやめさせたりする権利を「国民固有の権利」だと定めています。(今回のテーマに関連する日本国憲法を参考にしてください)
この条文が「この権利は国民のみに認められる権利であって外国人には認められないのだとする」主張の有力な根拠となります。
また、参政権は国民主権という日本国憲法の基本原理と密接な関係の間で主権者である国民が国政を運営していくために行使すべき重要な権利ですよね。
そのように考えると、日本国籍を持たない外国人が参政権を持つことができない理由も納得はできますよね。
外国人と一言でいっても…
ところで外国人といっても様々な方がいますよね。
例えば、単なる旅行客から留学で2~3年も滞在している外国人もいます。日本に住居を定めて10年も20年もの長い間日本に住んでいる人もいます。
その他にも、在日韓国朝鮮人などのように生まれた時からずっと日本に住んでいて日本語しか話せない外国人の方だっているわけなのです。
そうなると旅行客や留学のために来日した外国人は一応置いといて、日本に長らく住んでいる外国人についてはその地方自治体の住民として税金も納めていますし、現に日本人と同じように暮らしています。
日本に長らく住んでいる外国人には選挙権を与えるべきだ、と言う主張も一理あります。
公職選挙法から見る外国人の参政権
では参政権に関係する公職選挙法という法律から外国人の参政権を見ていきましょう。
その公職選挙法には満18歳以上の日本国民でなければ国会議員や地方議会の議員知事市町村選挙はできないことになっています。
また、議員や市長等に選ばれる資格も日本国民でなければならないことになっています。
ですから残念ながら、定住外国人(日本に長らく住んでいる外国人)にも参政権は無いのです。
少しややこしい話になるかもしれませんが、私たちが選挙権を行使するためには選挙人名簿に登録されている必要があります。
この名簿への登録は日本のどこかの市町村の区域内に住所を有している満18歳以上の日本国民でその市町村の住民票が作成された日から引き続き3ヶ月以上、住民基本台帳というものに記録されている者について行われるのが原則なのです。
ですから、外国人は日本に住んでいても選挙人名簿に登録される事はありえないというわけです。
そこで、これは不合理ではないか、と裁判で争う人が出てきました。そして、いくつかの判決が出ています。
判決の結果から見えてくること
この問題に関して今まで出ている判決は大きく分けると次の三つが挙げられます。
- 衆議院議員・参議院議員の選挙に関するものと地方議会の選挙に関するもの
- 選挙権に関するものと被選挙権に関するもの
- 在日韓国人が原告のものとそれ以外の人などが原告になっているもの
しかし、これらの判決の時で現在までのところ選挙権・被選挙権を外国人に与えていない現在の制度が憲法違反だとした判決はありませんでした。
ただ、最高裁判所は地方議会の議員を選挙する権利を外国人に与えるかどうかは立法政策の問題で外国人に選挙を与えるように法律を改正するなら構わないと判決したことがあります。
確かに憲法93条2項を見ると地方自治体の議員については、その自治体の住民が直接選挙すると定められていますね。(今回のテーマに関連する日本国憲法を参考にしてください)
ですから地方自治体については外国人にも選挙があるのだ、と主張がなされてきました。
なぜなら法律上での「住民」と言うのは、「市町村の区域内に主住所を有する者」とされているだけですから外国人であっても、日本国内のどこかの市町村に住所があれば、その市町村とその市町村が組まれている都道府県の住民だからです。
ですが最高裁判所はこの判決で憲法93条の「住民」も15条にいう国民と同様に日本国民である住民のことだと解釈しました。そのため外国人の参政権は認められなかったのです。
しかしその上で、最高裁判所は住民の日常に密接に関連する公的な事務はその住民の意思に基づいて処理されるべきだ、という地方自治の精神から考えると永住許可を得ている者などで、住んでいる地方自治体と特別に密接な関係を持つに至った人については、地方の選挙権を法律で与えることは憲法上禁止されているわけではないと述べました。
言い換えると、憲法上禁止されていないけどそうした立法がされていないから今のところ認められない、と判決したというわけです。
まとめ~なかなか外国人の参政権は認められにくい
いかがだったでしょうか。今回の内容は少しボリュームがありましたね。
最後に簡単な筆者の考えを述べたうえで終わりたいと思います。
ここまで、お付き合いしてくれた方は少しでも外国人の権利について意識してくれたんじゃないでしょうか。
まずは、知ることから始まります。いろんな情報を踏まえたうえで自分のなりの意見を持ってもらいたいと思います。
こういう議題で友達や家族とディスカッションしてみるのも面白そうですね。
参考~今回のテーマに関する筆者の個人的な意見
では、筆者の意見なんですが、個人的には地方自治体の参政権については認めていいと思います。
これは私個人の意見なので、そこだけご理解くださいね。
国政選挙(国会議員を選ぶ選挙)はさすがに主権者である「国民」が責任を持って進めていくのがいいと思いました。
ですが、地方選挙では地方自治体の議員はその地元の「住民」、すなわち国政を問わないすべての住民が選挙できるように法律を作るべきだと考えました。
地方選挙では、都道府県の知事や市長村長なども住民が直接選ぶことになっていますが別に問題ないのかなと思います。
地方の事はそれぞれ地方で決めるべきだと思うからですし、現に少しずつそのような世論が強くなってきました。
選挙権だけではなくて議員や時々市町村長になる資格も外国人に与えて良いか?については悩みどころではありますが、個人的にはアリだと思っています。
最後に言っておきますが、これは私筆者の個人的な意見です。鵜吞みしないでくださいね。
皆さん一人一人の意見があると思うでしょうから、私の意見は参考程度にしていただけるとありがたいです。
皆さんも自分なりの意見をもって見てはどうでしょうか?意外と考えさせられる問題だと思います。
では、今日はここまでです。いつもに比べて長くなりましたが、最後までありがとうございました。
それでは、またいつかお会いしましょう。けいタン
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